アヴァンギャルド

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『鬼滅の刃』が起こしたアニメにおける革新とは?

2020年10月31日(土)に大阪市中央公会堂において開催された「マツリゴト OSAKA 2020 The Forum」についてのレポートをお届けします。

このイベントは一般社団法人UMFが主催し、いわゆる大阪都構想大阪市廃止・特別区設置)住民投票投票率を向上を目指し、開催されました。

本セッションでは「わたしと社会」と題し、自分自身と社会との関わりについて『社会課題×エンターテインメント』の具体例を挙げながら参加者ひとりひとりが理解を深め、行動を起こすキッカケ作りを目指し、社会課題の解決に取り組む起業家(一般社団法人リディラバ 代表理事 安部敏樹さん、Tomoshi Bito株式会社 代表取締役 廣瀬智之さん)とともにモデレーターである一般社団法人UMF 代表理事 高村治輝と話し合いました。

 

なお、オンライン配信のアーカイブもありますので、ラジオ感覚で聞きたい方はぜひこちらからご覧ください。

 

この記事のPoint!

・社会課題を解決へと導くプロセスの全体像がわかる
・分断の存在意義がわかる
・社会課題の当事者性を高めるためのポイントがわかる
本記事は3部構成の記事のうちの3部目となります。
最初から読みたい方はこちらからご覧いただけます。
前回の記事はこちらからご覧いただけます。

 

Dialogue.1-3 「わたしと社会」〜社会を変えるためにはエンタメが必要だ〜 書き起こし

高村)
じゃあちょっと2つ目のテーマにも行きたいなと思っております。2つ目のテーマこちらです。「社会を変えるためにはエンタメが必要だ」というところですね。

今の越境というワードが出たりとか、こんな人たちがいる、こんな社会問題があるっていうところが整理できてきてるのかなと思っておりますが、それを実際どう変えていくかという部分が肝だなと言うところで。

投票率上げるためにどうするかといったら「政治は大事だよ」と学ばせようとか、学校教育に入れ込んだりとか、ビラを撒いてアイドルを起用してみんなに見てもらうみたいなことはありますけれども、なんかこう、そのままで解決できたモデルってあんまりないなーと僕は思ってまして。

そこのネックってなんなんだろう?というところが僕の中で疑問があって、その疑問をこの2人にぶつけたいなと思っているのがこのセッションなんですけれども。実際、安倍さんも本当に山のごとく社会課題に関わってはると思いますが。

安部)
そうですね、これまで350種類くらい調査していますね。

高村)
350種類もあるんですね。

安部)
まあ、もっとあると思いますけど、大まかにはカテゴリーされるものはだいたい見たと思いますよ。

高村)
その中で解決できていってるモデルって今逆にどんなものがあるんですかね?

安部)
でも、それは本当にいろんなパターンがありますよね。みんなじゃないんだけどスゲーうまいこと政治家のつながり使って政策をバコーンと変えて予算を大きくつけて解決しましたみたいな話もあれば、そもそもその解決っていう状態って何なんだろう?というのもありますよね。

例えばダムがあって、ダムを作って欲しくないという人と、作って欲しいといった人がいた時に、そこにおける解決って作っても作らなくても解決しないじゃないですか。

高村)
そうですね。

安部)
そうすると1つはどれだけその人たちは納得感をもって議論を尽くせているのか。今回のね、都構想の話なんかもそうだと思うんですけど。解決をどこに置くのかというのは 1つ大事な考え方ですね。ただね僕は、社会課題とか政治とかってエンタメポテンシャルめっちゃあると思って。

高村)
おお!嬉しい!

 

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安部)
最近僕の中で関心のあるエンタメ領域ってキーワードを挙げると「ロックとプロレス」なんですよ。

高村)
いきなり音楽が出てきましたが(笑)

安部)
ロックは私があの結構好きだなんですけど例えば1960年代といったロックンローラーたちがいまいたら何やってるかなと思うわけ。多分20〜15年くらい前だったらITベンチャーやってたと思うんだよね。

つまりロックって基本的には反政府とかアナーキーな思想が強いじゃないですか。そういう人たちのその動きというのは最初の頃ロックンロールだったんだけど、「なんかロック歌ってても意外に世の中変わんねーな」という感じになって、今度はそういう思想は結構インターネットの世界に入っていったかと思うんですね。

インターネットって非常に分散型で、アナーキーという中央集権に反対するっていう考え方でしてるんだけれども、それすらも最近は中央集権型になっちゃってるんですよね、大きな流れとしては。そうした時に今、最もロックで、しかしそのロックを刷新できるのは何かというと、これはね社会課題だと思うんだよね。

やっぱ過去のロックの学びというのは「歌をうたって反対活動に声を上げたところで意外に世の中変わねー」という学びだと思っていて、そこから先にもう1歩踏み込んで解決していくみたいなのがカッケーなみたいな感じになってくると、それが現代におけるロックンロールだと思うんだよね。

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高村)
なるほど、スピリットだけを伝えてもなかなか前に進まなかったと。

安部)
解決するところまで持っていこうぜみたいなところまで含めてな気がしていて。

高村)
確かに。

 

安部)
そこはそのロックっぽさがあるなというのと、あとはやっぱりプロレスですね。プロレスやっぱねえ、すごいよ。

橋下さんとかと朝の番組でご一緒だったので揉めたりするわけですね。橋下さんすぐ論破させようとするじゃないですか。あの感じは止めて欲しいんだけど(笑)橋下さんがどこまで思ってるかわかんないんですけど多くの政治家というのはプロレスやってるよ、基本的には。橋下さんはプロレスに対して場外乱闘もやるタイプだからどこまで言ってもわかんないんですけど(笑)

多くの政治家が基本、プロレスなんですよ。野党が菅新政権が出てきて所信演説した時にすごいこと言う訳ですけど。なんかすごい批判するじゃないですか。いや、そんなスタートからそんな批判しなくていいじゃんって気持ちになるんですが、普通に考えると。でも「いやー、この新しい新政権の所信演説よかったですね」という人がいたらそれはお前らの存在意義とは?みたいなことになってくるじゃないですか。結構、政治の世界とかってそういうのわかってプロレスやってる人も多いんですね。

つまり普通に飲んでるとめっちゃ仲いいんだけど、なぜかカメラがあってメディアで話した時はなんかこう「うぁー!」という感じの戦いがあると。あれ、プロレスだと結構面白く見えるんですね。

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高村)
確かに、なるほど。

安部)
適役に分かれてなんかやってるけど、まあ一応最後ギリギリの作法が多分あるんだ〜と思って見ておけると楽しい。このプロレスがガチの格闘技になると意外にエンタメ性なくなるんだよね。総合格闘技とかって最後、結構地味な技で勝敗が決するじゃないですか。

実はルールがあって、プロレスっぽさがあることによって派手さが成して、エンタメとして面白いというのがあって。多分、政治もそういう側面もかなりあるんですね。なぜなら政治って見る人がいて初めて成り立つから。

その意味で言うと、いかに「プロレスなんだ」ということをみんな見てる側として知っておけるかというのと、あとそのプロレスでもこの国の行く末決めるプロレスなんで、めちゃくちゃ大事ですよね。

例えば、プロレスの中で総合格闘技をやろうとするやつがいたら、ちょいちょいってなるじゃないですか。それお前勝つかも知れないけど、総合格闘技でやったら元々のプロレスのルール違うからって話になるときに、それを指摘してあげるのは見てる側ですよねというのがあって。だからロックとプロレスというのは今の社会課題とか政治の文脈にはね大事な概念だと僕は思いますね。

高村)
まさかそんな回答が来るとは全然読めなかったです(笑)

 

安部)
いや、僕はエンタメすごい関心高いですし、それで言ったら最近は鬼滅とかも感動してるわけですよ。

高村)
なるほど!

安部)
鬼滅の刃は社会課題屋さんからするととっても素晴らしいね。

高村)
特にどの辺がですか?

安部)
これまでのアニメって加害者側に対する優しさってないわけ。悪い奴がいたら悪い奴をぶっ倒すが当たり前じゃないですか。どんなあのストーリーであってもそうだね。で、加害者側が1個1個実は加害をしてしまった理由があるということまで構造的に示すっていうのは漫画ではしなかったですね。

だけど鬼滅は敵は鬼でしょ?で鬼は切られたらボロボロと体が崩れていくんですけど体が崩れる瞬間にお決まりのように必ずその鬼がどうしてどうして鬼になってしまったのかとか、どうしてそんなに残虐になってしまったのかというのが全部回想シーンに入るんですよね、鬼滅の刃って。

高村)
なるほどなるほど。

安部)
あれはすごい。二元論的な敵と味方に分かれて、悪い奴がいたらそいつを懲らしめればそれでいいという世界観じゃもうないんですと。実際、社会問題もそうです。

社会問題って40、50年前は例えば工場から水銀垂れ流しますみたいな工場長・社長がいるわけ。それはちょっと良くないですか。普通に考えたら水銀垂れ流したら下流域で人死ぬじゃんみたいな想像つくじゃないですか。だけどやっちゃってるやつがいるわけ。これは罰しなきゃいけないですね。

今の社会問題って加害者も含めて結構みんな精一杯頑張ってんだけどみんな苦しいなみたいな状況なんですよね。そういう時にはいわゆる罪人を特定して、その人に罰をあたえるってアプローチでは解決しなくて、むしろなんでこいつは繰り返してやっちゃうんだろうなって風にアプローチ変えなきゃいけないですよね。

例えば痴漢その道 30年みたいな人に取材とかするわけですよ。3万人痴漢しましたみたいな。

高村)
3万人、、、

安部)
朝は2人、帰りは6人みたいな。それをこなすまで俺は帰れないと思ってるわけ、その人は。4回捕まってるんだけど。全然ダメなんです。もう普通に犯罪者でアウトなんだけど、でもアウトだから4回捕まって刑務所に入っているのに出てきてまたやってるんだから、その人にもう1回刑務所に入れるアプローチってあまり意味ないじゃないですか。

むしろこの人がどうやったらしなくなるかというのを考えていかないとだよね。そうするためには鬼滅の刃的なアプローチが必要なんですよ。ワンピース的に殴ってぶっ倒せばいいとかじゃないのよ。なのでその意味でもエンタメって社会問題を非常によく反映していると思うし、そことのつながりをもっとね楽しみながら見て欲しいと思いますね。

 

高村)
最近そういう社会性を入れているアニメも多いですね。例えば、ゲゲゲの鬼太郎とか。

安部)
ゲゲゲの鬼太郎すごい。あの第6期のゲゲゲの鬼太郎は凄かった。

高村)
廣瀬さん、見たことありますか?

廣瀬)
いやー僕見てないですね。

高村)
ぜひこれはオススメなんですけど、どこまで言っていいかな?あのー外国人留学生ですか。

安部)
そうですね、留学生が外国人技能実習制度の批判みたいなので外国人技能実習制度そのまま入れちゃうとまずいから妖怪が代わりにやってるとかね。あと、カッパの過労死みたいなとか。ブラック企業批判みたいなのを人でやるとちょっとエグイことになっちゃうからブラック企業の被害にあってるのがカッパなのね。みたいな感じで伝えたりとかしてて面白いのよ。

廣瀬)
最近のアニメでやってるんですかそれを。

安部)
そうそう。ちっちゃい感じの猫娘がにゅーんと大きくなってなんかちょっとかわいくなったっていうのが数年前に話題になったんですけど、その期のゲゲゲの鬼太郎が朝の日曜9時にお父さんとお母さんと見る感じで流すような話じゃないの。めっちゃエグい社会問題を提起してんなみたいな話があって。

水木しげる先生が社会風刺を漫画でずっとしてきた人だからその心をもって今のアニメに反映するとそれでブラック企業という話になってくるんだよね。是非見たほうがいい。皆さんも是非見てください素晴らしい作品ですから。

 

高村)
そう、それで言うと廣瀬さんはまさしく僕このエンタメ×社会課題というテーマでトークセッションを開こうと思った時にまずはやっぱり廣瀬さんだなと。いろいろ候補はあった中でやっぱり廣瀬さんがやっぱりいいなぁと思って。

まあ具体的な事例も是非教えてもらいつつどういう経緯があったのかなと多分いきなりエンタメと社会課題から行くってなかなかなくて僕は僕なりのストーリーがあるんですけど、どういう風に今のスタイルができたのかちょっとお聞かせください。

廣瀬)
僕、元々、起業家になりたいとかまったく思ってなくて元々、報道写真家になりたいと思ってジャーナリストになりたかったんですよね。ただ、ジャーナリスト的に社会問題をそのまま切り取って伝えることやっていく中でやっぱそれで聞いてくれる人って結構限られて。

僕はあくまで問題解決をしてほしくて伝えているんですけど、じゃあいったいどれぐらいの人がそれを受け取って、自分ごとに捉えて、解決のところまで持って行ってるんだろうかと考えたときに、もちろんそれで響く人もいるんだけど、社会問題のことを社会問題の顔で伝えますということじゃあやっぱ響かない人たちたくさんいるんだなって事をそこで学んで。

結局、みんなどんな人でも忙しくて、仕事をして自分の空き時間が本当に少ない中で真面目なコンテンツを見続けるって結構難しいなと思って。

じゃあどんなコンテンツで日常生活の中に自然な形で入って行くのかってめちゃくちゃ大切なんだなということをそこで知り、最近ちょっとまた挑戦しているのが今やっぱ若い子たちにそういうのを知ってもらいたいと思った時にTikTokってやっぱりめちゃくちゃすごいなーって。

いろいろ仕事とかもあって精力的にやってないんですけど。でも今結構、真面目な言葉で話してますけど、TikTokではいかに面白く笑いとってその社会問題のこと伝えられるかというのを挑戦してて、あたりまえ体操ってあるじゃないですか?COWCOWさんの。あれの「当たり前じゃないぞ体操」っていうのを自分でコスプレ買ってスタジオ借りて撮影してたんですよ。

そしてそれをTikTokにあげたらバーってめちゃくちゃ拡散されて、コメントもたくさん来て「確かにそうだねタトゥーとかもやっぱ当たり前じゃないよね」とか「確かになんで結婚したら女性が性別を変えるんだろうね」とかそういうコメントが結構ついて、実はすごく社会的なんだけど今の漫画の話と一緒で見かけはそうじゃないと。

なんか面白そうという中で実は考えられるポイントが入ってるみたいなものを流していくことも1つのアプローチとしては凄い価値があることなんじゃないかなとも思っていますね。

 

高村)
社会問題っていうのは数値的にもやし、困っている人たちも調べていったら見えるじゃないですか。ただ、それを他者に伝えようと思ってもなかなかね。例えばアフリカでお腹空かせた子がガリガリですごい困ってる人達がいるからって募金して欲しいってもね。なかなかイメージができないし、でやっぱ面白くないと思われたらもうそこでフィルターかかっちゃうじゃないですか?良いこと言ってる、もうそれは絶対変えた方が良いし、そうなって欲しいとも思ってる。けど動かないっていうのがすごい難しいところだと思っていて。

僕らの団体もですね、恥ずかしながら政治に関心があるってメンバーは僕とあと2人くらいなんですよね。今回、50人くらいのスタッフいますけど3人くらいが政治に関心があるかなという感じで、その他大勢はまあ楽しそうなお祭りをやるからというところで絡んでくれたりするわけなんですよね。そのエンタメの力というのがすごく重要なのかなと言う感じですね。

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安部)
重要だし、昔、自分のメディアもやってるんでHowToレシピのサイトとかそういうのよく見てたんですよね。HowToレシピのサイトって面白くないのよ。役に立つんだけど。なんで面白くないかというとすぐ答えが書いてあって、こういう結論しかないって話になってるからコンテンツとしての深みは全くないんだよね。

実は「コンテンツ」っていうのをちゃんと作ろうと思うと、奥深さを作らなきゃいけなくて、その奥深さっていうのは人間の精神世界のところに入って行くのか、社会の側に入っていくのか2択しかないと思うんだよね。

しかも実は人間の精神世界と社会というのはすげー連動してるわけ。自分の精神世界の中で「こいつと似てるな」と思ったらそこに社会が生まれるわけでしょ?だから人間の自分の中にあるものと社会にあるものってのは循環的に繋がっているとするとほぼコンテンツの奥深さを伝えていくというのは社会を掘り、そしてその中にある自分の中の加害者性・被害者性みたいなものも含めて掘っていくというやり方以外ないのよね。

実はエンタメは社会性がないものなんて多分あんまり面白くないものつくれない。特に文字コンテンツとか動画コンテンツがそうだと思っている。あの音楽だけ独特だなって思ってるんだけど。音楽はそこまでじゃない場合もあるかなと思うけど。他の絵とか写真、それから動画、小説とかそういうのを取ってすべからくコンテンツは社会性を追っていく。

それは社会的に悪であってもいいのよね。その社会が良いこととか悪いこととは個人の判断なんでどっちでもいいんだけど。社会を追わないと、あるいは人の中の社会性を追わないと生まれ得ないよね名作はね。と思うんだけど、それもポテンシャルしかないと思うけどね。

 

廣瀬)
梨泰院クラスも見ました?安部さん。

安部)
あのー見てないんです、恥ずかしながら。あれ観てしまうと人生の時間をだいぶ使っちゃいそうだなと思って。

廣瀬)
あれも多分見られている方多いと思いますが、韓国ドラマって結構いい感じで社会問題の入れ込んでて、確かにドラマとかも社会性があるからこそ深みのある面白いものなっているんだなと思います。

安部)
そう、だからねこうして「いろんなコンテンツを社会課題文脈で語るおじさん」になりたいと思ってて、いま。こんな風に「楽しい」とか「流行ってる」と言われてるけど、実はこれは社会的課題的に言うとこうなんですけどねと。こういう点で意義があったんですねみたいなことをひたすら解説していくみたいなことをやりたいんだけどね。

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廣瀬)
ディズニーとかジブリとかでも結構いけそうですね、それ。

安部)
めちゃくちゃいけるよね。ディズニーなんかすごい。やっぱアナ雪出た時、だからこいつらは世界一になるんだなと思ったもんね。これまでのお姫様像からの脱却という観点で観たときに、やっぱ僕もアナ雪見ながら途中でこうなるだろうと思った方向をしっかりひっくり返してくるじゃない?その時点で「あ、俺ってバイアス思ってたんだな」と思って。ジェンダーに対するね。

高村)
それ、おもしろいですね。このあとちょっと楽屋裏トークでそれやりますか。

安部)
そうだね、時間もあるからね。

高村)
ちょっと色々とね。まだまだ聞きたいことがたくさんあるんですけれども、一旦このぐらいで「わたしと社会」のセッションを終わりたいなと思います。改めてリディラバ安部さん、そしてTomoshi Bito廣瀬さん、ありがとうございました。

高村)
ありがとうございました。

ぜんじろう
どうも有難うございました。なかなか興味深く聞かせていただきましてね。僕もここでもずっと気持ちは参加しましたよ。

高村)
ぜんじろうさんは)エンタメのね大御所ですから。

安部)
笑いって社会性がないとなかなか笑わせられないですよね。

ぜんじろう
いま、お笑いに社会性ないです。吉本が特にその権化です。

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安部)
だから、今のお笑いはつまらないんですね。笑

ぜんじろう
ありがとうございます。吉本興業に一応所属なんで、それは確かにその通りでございます。

社会という言葉と世間と、日本は社会が根付きにくいんですけど本当にこれ非常にレベルの高い、本当に興味深いやつなのでまたこれ開催していただきたいと思います。

本当に今日はですね、勇気をもって本当に興味深い話をしていただきました。皆さん大きな拍手をしてください。ありがとうございました。 

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マツリゴト OSAKA 2020 The Forum Dialogue.1 Fin.

「Dialogue.2『わたしと都構想』」へ続く(記事が公開され次第、リンクが表示されます)

"結婚してないだけ"で社会問題?

2020年10月31日(土)に大阪市中央公会堂において開催された「マツリゴト OSAKA 2020 The Forum」についてのレポートをお届けします。

このイベントは一般社団法人UMFが主催し、いわゆる大阪都構想大阪市廃止・特別区設置)住民投票投票率を向上を目指し、開催されました。

本セッションでは「わたしと社会」と題し、自分自身と社会との関わりについて『社会課題×エンターテインメント』の具体例を挙げながら参加者ひとりひとりが理解を深め、行動を起こすキッカケ作りを目指し、社会課題の解決に取り組む起業家(一般社団法人リディラバ 代表理事 安部敏樹さん、Tomoshi Bito株式会社 代表取締役 廣瀬智之さん)とともにモデレーターである一般社団法人UMF 代表理事 高村治輝と話し合いました。

 

なお、オンライン配信のアーカイブもありますので、ラジオ感覚で聞きたい方はぜひこちらからご覧ください。

 

この記事のPoint!

・社会課題を解決へと導くプロセスの全体像がわかる
・分断の存在意義がわかる
・社会課題の当事者性を高めるためのポイントがわかる
本記事は3部構成の記事のうちの2部目となります。
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Dialogue.1-2 「わたしと社会」〜なんで社会を変えようとアクションを起こすのか〜 書き起こし

高村)
というところで、まず1つ目のテーマに行ってみましょう、こちら。「なんで社会を変えようとアクションを起こすのか」と言うところですね。

先ほど安部さんからもお話がありましたが、そのキッカケについて語っていただいたりとか、あとはそれで社会が本当に良くなるのか?社会課題を解決するって何なんだろう?っていうところを掘っていきたいなと思ってるんですけれども、実際、廣瀬さんってなんでそういう活動に興味関心を持ったりとか、実際に自分がやろうってなったんですか?

廣瀬)
はい、ありがとうございます。さっきの安部さんの話は自分自身がそうした社会課題の当事者で触れてたって話だと思うんですけど、結構、僕は対極かなと思っていて、どっちかというとなんかおぼっちゃんと言い方を自分でしたくないですけど、普通になんか幸せに生きて「うわー日本って幸せな国でよかったなあ」という感じで育ってきたんですけど。

友達に誘われて初めはカンボジアとか途上国とかに行ったときにまず外を知って世界っていろんな問題があるんやなーってところから社会問題に対して興味をもったんですけど、そこから日本に帰ってきた時に自分が知らなかっただけでそれこそ男女差別もそうかもしれないし、日本もめちゃくちゃ問題あるやんってところを初めて知って、そこからこんな社会、自分はあんまり生きたくないんやけどっていうそこに対してモヤモヤがどんどん沸き始めたという感じですね。

高村)
外を知ってから内を見た時に色々出てきたと言うのが大学生のとき?

廣瀬)
ですね。大学のときに初めて行ってって感じですね僕は。

高村)
特にいま関心があるものってなんなんですか?

廣瀬)
結構色々あるんですけど、1番大きいテーマでいうと気候変動とかはかなり関心持ってて。福岡いるんですけど福岡もほんまにもう毎年恒例行事ぐらいの勢いで豪雨災害とか起きるようになっちゃったりとかありますし、あとは最近ニュースになってましたけどそれこそLGBTQの権利の話しとか、あとはちょっと難しい話になるかもしれないけど緊急避妊薬が解禁されるかどうかみたいな話もあったみたいな。結局、自分の暮らしに紐づいたところに1番興味あるかなと感じますね。

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高村)
なるほど。それを関心持つのも一般の人からしたら結構すごい遠い存在だったり、あの人意識高いなーという部分が目についちゃうと思うんですけど、そこら辺、安部さんどうですか?

安部)
意識が高いかどうか?いろいろ僕、持論があるんですけど1つにですね。まず、みなさんに問いたいのは仮定の話、俺に彼女がいないとするじゃない?事実確認しなくていいからね(笑)そうなった時にその「俺の彼女いない問題」は社会問題なのかと。

高村)
これはプライベートな問題なのでは?

安部)
プライベートだと思うよ。でも例えばどう?30代男性が恋愛せず、まあ別に結婚してもしなくてもいいんだけど、子供も作ってないという風になった時にこれどう?社会問題?

高村)
生産性みたいな話になってきますよね。

安部)
ある種の少子化という問題の話の方に入ると思うけどこれ社会問題だと思いますか?

高村)
確かにそこまで行くと社会問題ですね。

安部)
でもさ、その差ってそこまで何も変わってなくない?

俺が彼女おらんやんという話と何の差もないじゃないですか。それってなんかこう個人的には なんかまあ言い方じゃんそんなのと思っています。でも少子化となったらみんななんとなく納得するでしょ?

俺に彼女がいない問題の方が俺の中でしっくりくる話だけれども、少子化と言われるとみなさんが納得できるんですね。これすごい大事な話だと思っていて結局その個人の問題と社会の問題の境界線というのは非常に曖昧なんですよ、実は。

曖昧なんだけれどもそれを社会の問題に変えていくことによって実は個人の問題解決進むよねという話ではなくて、そもそも彼氏・彼女が欲しいかどうかは別なわけよ。ちなみに「問題」って理想状態と現状の乖離ですから。

例えば、俺が彼女をそもそも欲しいわけじゃないんだと。実は欲しいの彼氏だったかもしれないとなってくるとその時その彼女がいない現状というのは別に問題ないでしょう?仮に俺が彼女を欲しいと思ってたらそれって問題じゃない?

理想状態に対して現実それが満たされないんだからそれが問題だというのがあってその問題がみんなの問題かどうですかって言うのを問うていくそのプロセスというのが社会問題ですね。

高村)
なるほど。

安部)
あの私、昔お猿さんの研究したんですよ、理化学研究所ってところで。お猿さんの脳みそをパカンとあけて、、、

高村)
もう完全に廣瀬さんがポカーンとしています(笑)

安部)
これね、1つは自分が非行少年・少女だったというその原体験が今の仕事の原点なんだけど、もう1個はお猿さんの研究をする時に考えたことが多くて。

お猿さんってバナナが好きなんだけど知ってる?お猿さんの実験をする時にバナナを目の前に置くと猿がウキャウキャと暴れる訳ですよ。一応実験中だから拘束具つけさせてもらってるから取れないわけですよ。

それはもううーんとなってそのすごい獣の呼吸を使うわけですけど、そのそのお猿さんたちのその獣の呼吸、うーんとなってる時にずっとそういう実験を見ていて思ったのがあったんですが、要はお腹が減ってバナナが食べれないというのを問題と思ってんだろうかどうだろうかというのが自分の中でふと疑問に思って。ただただリアクションしてるだけじゃないの?って思ったんだよね。

で、ウキーってなってる中で 例えばとある猿がちょっとこれバナナ食えないの問題じゃんってその他の猿にバナナ食いたくない?でしょ?みたいな感じでバナナが食えないってこの課題は俺単体じゃなくて猿業界全体の問題じゃないの?これちょっとみんなで協力して安定生産するバナナを作ってきてみんなでいっぱいバナナ食べれるようにしようよって言わねーなと思って。

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俺そういう猿見たこと無いので。猿って道具も使えるし、遺伝子レベルで見たら人間と99%以上一致するわけですよね。なんだけど、サルと人間の違いどこなのかなと思っていくと、バナナを食べたいという気持ちがさらに人にもあるんだが、バナナ農園を造るのは人だけだなと思って。

この差だと思うんだけど、これってつまりはバナナが食えないということを課題として言語化して、それを他者に共有し、でその他者と共有してみんな納得したらバナナ作るために農業やってたの?バナナのもと持ってるの?じゃあそれで一緒にバナナ農園つくろうみたいな感じにして生産量上げていくみたいな。これ人間だけだと思って。

これって社会課題そのものなんだよ。課題を設定し、それをみんなに共有しますよと。みんなの問題でしょ?バナナ食えないのって。その中で皆さんで何か農業得意な人いるんだと。熱帯雨林からバナナのもとを持ってきたと。じゃあみんなでつくろうみたいなのでみんなの資源を借りてきてバナナを作りますよ。バナナを作ってみんな幸せになりますよというのが社会問題じゃないですかこれって。

当然その共有する時に「いや、別に俺、腹一杯」ってやつがいるわけですよ。つまり自分は今そのバナナが食えないということを課題と思ってないやつもいるんだけど、でもみんなその方が良いよねと思ったら納得してくれるじゃないですか?そうすることによって今バナナ食いたいと思ってないやつの力を借りるっていうのポイントで、社会問題もそうですね。

俺の彼女がいない問題があったときに、彼女いないんだねって言われて「いや、僕はもう全然そういうのはもう満たされています」という人がいたとしても少子化って観点から見るとやっぱみんなでこう増やしたほうがいいんじゃないの?とかその場で将来的な年金とかも安定するんじゃないの?みたいな話をして行った時に彼女いますとか充分にパートナーシップあると思っている人からしてもそこサポートできるじゃんと思えるわけですね。

こういうのが大事だと思っていて、社会課題と個人の問題っていうのは境界線が曖昧なんだけど、曖昧だから社会ってのは面白い訳ですよ。そこを対話していくプロセスというのは変な話、合コンでも同じなんです。俺に彼女がいないからちょっと合コンやってよと。これ社会課題の解決のプロセスですからそれと同じだと考えるとなんか変にとっかかりを大きくしないというのが大事かもしれません。

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高村)
例えば今コロナで安全性を優先するか経済性を優先するかというところで、結構、分断が生まれがちだったと思うんですけど、そう言った時に社会課題って何かしら分断がめちゃくちゃキーワードになっているなと思ってまして、分断を生まない解決方法っていうところはどういうふうにお考えなのかというとちょっとお伺いしたくて。

例えば僕らで言ったら選挙の投票率を上げていこうと言う中でエンターテイメント手法を使ってですね、みんなが参画すればするほど、楽しんでもらえばもらえるほど投票率が上がっていくと言うモデルを生んでいるわけですけれども、それに似たような形で皆さん取り組みの事例の中でも工夫されている部分をお伺い出来たらなと思っております。じゃあ廣瀬さんとかどうですかね?

廣瀬)
分断を生まないところで何かやってるかってことですよね?うーん、そこに対してめちゃくちゃ意識して何か事業設計してるわけじゃないんですけど、

でも今って議論自体がそもそも声が大きい人が声をあげて、言葉のキャッチボールじゃなくて本当にぶつけ合いみたいな形になって論破し合いみたいなところが結構あるんじゃないかなと思っていて、そういう平行線をたどっているからずっとお互い合い入れずに分断されていくのかなと思っていて、

そこをもっと建設的な議論の方にもっていくことってできるのかな?と考えた時に結局、僕たちが今やってるのって要は身近に、昨日の野球の試合みたみたいなぐらいの感じで政治のこととか社会のことって普通に話せる空気感だったらいいよねってことを言ってて、

そこでもっと身近に語れることが当たり前になってきたら、今は違う意見と出会ったときにリテラシーと経験がないからそこ合い入れない意見になった時にわって批判をしちゃうんじゃないかなと思うんで、そこをもっとやっぱ身近にして行きたいっていうのが僕らの想いとしてあるから、そこに結局僕らの授業も繋がっているところがあるのかなと聞いてて思いましたね。

高村)
確かに。そんな中でも分断というテーマで言うと安部さんはどうですかね?

安部)
背景として人って分断をした方が居心地がいいですからね。

高村)
なるほどね〜

安部)
それってそういう研究があって、例えばこれはノーベル経済学賞を取っている研究ですけど、人は誰かが嫌いだからお互い住む場所を変えていって分断していってスラムが生まれるみたいなものじゃないんですね。

高村)
なるほど。

安部)
例えば、白人は黒人が嫌いだから別のところに住んでいき、分断が生まれるんじゃなくて、白人は白人の人が好きなんですよ。同質性が高いのが好きなんで、別に異質性のものが嫌いなわけじゃないんですね。同質性が好きなだけ、ただそれだけ。で、そうすると自然と分断していくんで基本的に分断した方が居心地いいんですね。

高村)
なるほど!

安部)
まずそれ大前提。で、すべての分断がダメなんじゃなくて分断はみんなが心地よいためにかなり大事なものなんですね。一方で分断ってのがこう今こうやって話題になった話の中に1つとしては、「世の中」っていうのが大きな主語で語りづらくなってきたと。

高村)
そうですね。

安部)
特に日本で言ったら「ロールモデル家族」って昔あったんですね。今も日本の政策はそういうもののためにあるんですけど、なんとなくお父さんお母さんがいて子供が2人いて、で郊外に家を持っていて、幸せそうに暮らしているみたいなロールモデル家族ってなったんですけど、これって実際10%いないわけですね。

高村)
えー、そうなんだ!

安部)
いま日本の中にね。そういう世帯っていうのは10%ないんですよ。それなんだけどなんとなくそれが一般的な気がするじゃないですか?という感じで見ていくとそもそも多様化してるんですね。価値観も、生活スタイルも、考え方も、多様化している中で、右と左の分断みたいなんじゃなくて、分断はみんなすげー個別化したところで、私とあなたに分断があるし、こことここにも分断があるしみたいな感じになって、みんな離れ小島に住んでるみたいになったんですね。そうなってくると本当に意見をまとめあげるの難しくて。

高村)
そうですね。

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安部)
例えば私、私立のとある非常に優秀な高校に行くじゃないですか。そこに行くとその皆さん子どもの貧困って知ってる?みたいな。子どもの貧困6人に1人とか7人に1人とかの確率でねありますけど。例えばそういうところに200人とかいても私立の東大いくようなその学校に行くとほとんど周りにそんな貧困のやつなんていない訳ですよ。

高村)
なるほど。

安部)
200人いても誰も周りに貧困なんていない。やっぱりそれは教育格差とその経済格差がすごく連動しているということをわかりやすく示していると思うんだけれども。そういう状態がまずあるわけですよ。そうなってくるとその人たちは子どもの貧困を自分と同世代たちの貧困問題だと言われても正直イメージつかないね。

高村)
そりゃまあ、周りに当事者いないですしね。

安部)
逆にその例えば区域ごとに住んでるエリアごとにその貧困率って違ってくるわけですけど、大阪にもそういうエリアあるし、東京にもそういうエリアはありますけどやっぱりその比較的所得が低いとされているような区域に行くと周りむしろみんなちょっと貧乏だけどむしろこれって問題というのもわかんないじゃない?

高村)
確かに。

安部)
普通でしょみたいな。それがある時、大学とかで出ていってどういうこと!?と。俺が住んでた世界ってちょっと違くない?ええ、ちょっと待って〜みたいになんだけど、結局、何かと違うことを体験しないと実が自分がいる環境が課題であって声をあげた方が良かったんだなというのがわからないっていうのが1番人間の難しいところでして。だからやっぱ基本的には分断を越えて行く意味っていうのはその分断を超えて別のところに越境していくことによって、あれ?自分達の居た場所とか育った環境とか自分の置かれてる状況というのは他と見るとちょっと違うかもしれないと気づくことだっていうのがあってですね。これはなんか1個、すごい肝になる話だなと思ってて。これうちでも社会問題に関心がある人ってどんな人って色々調査するんですけど、僕らが持っている仮説は越境活動によってマイノリティ性を獲得した人っていう仮説なんですよ。もう少し分かりやすく言うと転校したことがあるやつみたいなね。

高村)
なるほど。

安部)
学校中で転校したことがあるというやつは常に自分が転向した先でマイノリティじゃないですか。マイノリティだからなんか違和感に対してすごく敏感なんですよね。

それはそのずっと同じ学校にいるやつだと自分の学校が当たり前なんだけど転校してるやつってのは比較をして行くし、そこの中でちょっと違うんじゃないかなという気持ちになってくるというので、こういう人たちっていうのが社会課題にまず感心を持ちやすい人ですよと。

よく考えると転校っていう風に言ったけど、それ以外でもいっぱいあるよね。例えば大学入学する時に東京に上京して来ますとか。高卒で働くときにこれまでと思ってたところと違ったところで働くことになりましたとか。いろんな自分の越境して行った瞬間に社会というものを意識し、社会問題って何なんだろうなと考えたりするので、実はね越境って大事なんですよね。

高村)
それこそ廣瀬さんはね、海外いった経験からですもんね。

廣瀬)
まさにまさに。やっぱ外を見ないとなんか当たり前すぎて感覚が麻痺してるっていうか、なかなかそれが問題って感じにくくなるなと思うんで、そこは理論づけてなるほどそうなんだなーってのも納得いきましたね。

 

『Dialogue.1-3「わたしと社会」〜『鬼滅の刃』が起こしたアニメにおける革新とは?〜 書き起こし』へ続く

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わたしが苦しいのって "わたしのせい" なの?

2020年10月31日(土)に大阪市中央公会堂において開催された「マツリゴト OSAKA 2020 The Forum」についてのレポートをお届けします。

このイベントは一般社団法人UMFが主催し、いわゆる大阪都構想大阪市廃止・特別区設置)住民投票投票率を向上を目指し、開催されました。

本セッションでは「わたしと社会」と題し、自分自身と社会との関わりについて『社会課題×エンターテインメント』の具体例を挙げながら参加者ひとりひとりが理解を深め、行動を起こすキッカケ作りを目指し、社会課題の解決に取り組む起業家(一般社団法人リディラバ 代表理事 安部敏樹さん、Tomoshi Bito株式会社 代表取締役 廣瀬智之さん)とともにモデレーターである一般社団法人UMF 代表理事 高村治輝と話し合いました。

 

なお、オンライン配信のアーカイブもありますので、ラジオ感覚で聞きたい方はぜひこちらからご覧ください。

 

この記事のPoint!

社会課題を解決する事業を行う起業家たちのアクションと問題意識を知ることができる
・主催者のイベントへの狙いがわかる

 

Dialogue.1-1 「わたしと社会」〜プロローグ〜 書き起こし

高村)
みなさん、こんにちは。一般社団法人UMF代表理事を務めております、高村治輝と申します。本日はですね、このイベントにお集まりいただき、そしてyoutube上でもご覧いただき本当にありがとうございます。このプロジェクトはですね、選挙の投票率の向上のプロジェクトでですね、その中でなかなか直接「選挙行ってね」とか「大事だよ」って言っても伝わらないものだと思いますので、それだったらみんなが行きたくなるものを作ろうじゃないかと、それだったら選挙をお祭りにしようじゃないかというようなプロジェクトです。

今回のThe Forum、そしてThe Festivalこの2日間行っていくわけなんですけれども、このフォーラムでは皆さんに学びを深めていただきつつ、その中で明日からちょっと希望が持てるような、楽しくなるようなそんな知識だったり情報というのを提供したり、そしてプレゼンターのすごく熱のこもったプレゼンもありますのでそれを刺激としてもらって豊かな生活になればいいなと思って企画しております。本日はどうぞよろしくお願いします。

ということでですね、最初の企画が『わたしと社会』というテーマで行っていきます。その中でまずは今回の対談にご登壇いただく人たちをご紹介させていただきます。まず1人目はTomoshi Bito 廣瀬智之さんです、どうぞ!

高村)
今日ははるばる福岡からありがとうございます。今回は大好きな2人とお話が出来るというところですごく自分自身嬉しい時間です。

廣瀬)
こちらこそすごい楽しみにしていました。

高村)
まずは廣瀬さんがどんな活動をしているかというところをお聞かせいただければなと思います。

廣瀬)
はい、ありがとうございます。皆さん改めまして、はじめまして。Tomoshi Bitoという会社を福岡でやっています廣瀬と言います。Tomoshi Bitoで僕らがやってるのは、今回のイベントもかなり親和性は近いかなと思うんですけど、いろいろ社会問題とか政治の問題がある中でそういったものに対してどれだけ当事者意識を持てる社会で作れるんだろうなってところに挑戦しているような事業になります。

で、やっていることとしては大きく分けて2つあるんですけど1つは社会派インフルエンサー事務所『RICE』っていうのをやっていまして、要はなかなか政治のこととか社会問題のことって今あんまり身近に友達とか家族とかそういうところで語れる空気なんてなかなかないんじゃないかなと思っていて。

むしろ政治のこととかだったらSNSで言ったら炎上するような、腫れ物扱いされてるんじゃないかというところで、そこをもっと身近に、普通にスポーツの話をするぐらいの感覚で語れるような空気感というのが出てきたらもっと気軽に政治のこととか関心を持ったりすることができるんちゃうかなと思っていて、そういう空気感を創るためにもっと影響力をもって世の中に社会的な事を発信していくような、めちゃくちゃ平たくてあのUUUMさんとかの社会派版みたいなのを作ろうみたいなんで、いま『RICE』っていう事業をやっています。

もう1つは学校とかに行ってそうした社会問題や変わるキッカケ、問題を解決するプロジェクトを作ってもらうような教育プログラムを作っていて、それを提供してたりしているような会社になります。よろしくお願いします。

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高村)
よろしくお願いします!すごいですね発信も、そして教育現場に立ってはるっていうのがすごく器用な事業で、もう少しその辺をこの後深ぼっていきたいなと思っております。よろしくお願いします!

はい、そして今回もう1人、あのマシンガントークの男を呼んでおります。一般社団法人リディラバ代表理事を務めていらっしゃいます、安部敏樹さんです。どうぞ!

安部)
よろしくお願いします。

高村)
いやー、ついに大阪にいらっしゃいましたね!じゃあ改めてですね、このリディラバの事業についてご紹介いただければと思います。

安部)
例えば突然なんですが、まずね今日ここにいらっしゃってるほんとえらいね。すごいですね。オフラインのイベントも最近本当なくてすごい楽しみにして来ました。てか、この会場のクオリティーヤバくない?

高村)
重要文化財というね(笑)

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安部)
いや、これすごいいいなと思っていて、全然いきなり話ししていい?

高村)
大丈夫です!

安部)
自己紹介もしないうちにね(笑)結構海外のカンファレンスとかに呼ばれて話をしに行くこともあるんですけど、そういう時って例えばその独立宣言した場所で政治のセッションがあるとか。

高村)
なるほど!

安部)
サイエンスだったらMITの真ん中でやりますみたいな事があったりして、やっぱりこう話をする場所とその場所の価値というのはその文脈が連動してるかどうかが大事じゃないですか。その意味でもいうと、今回政治の話をする時に裏に市役所があってと言う意味でも、非常に良い場所だなと思っいました。是非来た方とその時間を共有していけたらと思うんですけど。

その意味で僕の自己紹介。リディラバというですね、一般社団法人があるんですけど、もう12年になりました。大学3年時から初めて元々ボランティア団体だったんですけど5、6年してからかな。事業化していま何10人と雇いながら事業としてもやっています。ただその事業と言うのはある種の手段でしかなくて、「社会の無関心の打破」と言うのを理念にしておりまして、いろんな社会の問題や誰かの困りごとみたいなものに対して、結局その多くの困りごとって自分で頑張ってなんとかできるっていう問題のレベルじゃないことが多いのよ。

高村)
確かに。。。

安部)
で、なんでそう思うかというとやっぱこう昔自分がグレてたんですけど、グレてたときにその周りにいる奴らってろくでない人が多かった訳ですね。グレてると同じようにグレている人が集まってくるじゃないですか。そのグレてる奴ら同士でいる時に外からみたらある種の非行少年少女の集まりであるし、ヤンキーみたいな感じに見られがちなところがあるんだけれども、でもよく考えるとほとんど十代な訳ですよ私も含めて。

で、いろんな問題があった人たちだけれども私もそうだったけども、でもそれって全部俺らのせいなの?と思って。別に好き好んでこの家に生まれて、好き好んでこの地域に生まれてねーし、好き好んでよくわからない学校の先生のガチャみたいなので、その意味不明な先生に文句言われて学校なんて行ってらんねーなと思うこれって全部俺のせいなの?と思って。

でも大人も言ってくるじゃないですか「自分で頑張れ」って。でも、そんなん公立の学校でどうやって自分の先生選ぶんだと。頑張り用がねぇじゃないかって話だし、生まれた家の中で与えられた環境の中から自分で頑張れって言われても程度ってもんがあるでしょうという話しがある時に、やっぱこう実はほとんどの困りごとって1人じゃ何とも出来ないじゃんと思って、それをどうやったら多くの周りの人が関心持ってたりして、みんなで解決できるようなものにしていくのかということに対してもすごく関心がありまして、それを事業としてやっていると。

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これをもう少しブレイクダウンすると、その問題を見つけるっていう機能とその問題をみんなで共有するっていうのと、共有した後にそれをみんなで資源を出し合って解決するという3つのフェーズに分かれていて、例えば問題見つけるっていう話で言うと調査報道とかをするんです。

週刊文春の記者とかいるでしょ?アイドルの不倫報道とか、そういうの追ってた人たち。その調査能力をもっといい方向に使おうと。

高村)
そうですね!

安部)
アイドルのマンションに24時間ずっと張り込みしてるみたいなことの力をもっといい方向に使えるからというのがあって。そういう人たちと一緒に社会問題を調査してきたりするっていうメディアの仕事があったりとか。あとですね、共有する時は楽しくなきゃダメじゃない?

高村)
そうなんですよ〜

安部)
今日のテーマも「楽しく」だけど「楽しく」ってなんだろうなというと、いろんな楽しくがあると思うんだけど、もうこのカテゴリ絶対楽しいというのがあるじゃないですか。音楽とかね。今回、音楽もあって楽しいですけど、僕の場合は旅行って楽しいと思うんですよ。

高村)
確かに!

安部)
旅行は絶対楽しいカテゴリーなんでその旅行カテゴリーに社会問題を突っ込もうと思って、社会問題の現場を学びながら楽しめる旅行形式のスタディツアーを作っていろんな中学校・高校の修学旅行に差し込んでもらってるんですよ。

高村)
なるほどなるほど。

安部)
東京だとディズニーランド行って、次の日劇団四季みたいな。それはそれなんつーか二日使わんでいいんじゃないと。ディズニーランドとか修学旅行じゃなくても自分で行くと思うんで。

高村)
確かに確かに。

安部)
てなってくるとその時間のどっちか、全部をなくさなくていいんでどっちかだけでも社会問題の現場を見に行こうよと。意外に楽しいからという感じで旅行として体験してもらうという事業があると。

あとは問題解決する時は我々、調査の力があるのでこういう調査をしたり、実証事業をしていく中で政策を作ろうと。政策も結構作ってます。元々のきっかけは僕1人でやってるわけじゃないですけど、例えばみんな中高生に1人1台パソコンを持たせましょうという「ギガスクール」というのがありますけど、そういった教育改革の政策に関わってたりだとか、またロスジェネ世代という人たちの社会参画をどうやって促してきますかみたいな話があったりするんですけど、それで政策を作っていく。

あるいは国の場合は自治体と一緒に事業としての政策を作ったりもあるし、あと民間企業と一緒に共同出資として事業作ろうぜということでちゃんとお金が回る形にするから、CSRとかじゃなくていいからちゃんとおたくの会社でビジネスとしてやりましょうと。だってビジネスって結局、問題解決だからいけるっしょと。事業を作るみたいなことをやったりもしていてそれが最終的にはスピンアウトして別の会社にしたこともあったりします。ということをやってるまあ「社会問題なんでも屋さん」ですね私は。

高村)
すごい。最後は簡潔に社会課題何でも屋さんということで締めていただきましたが、見て頂いてね安部さんすごくたくさん引き出しがあるんでね(笑)

安部)
しゃべりが長いからね。

高村)
いい感じで僕と廣瀬君でガヤを入れていくようにしないといけないなと思っているところでありますが、じゃあこのテーマについてもう一度、抑えをさせていただきます。ここに出ている通り『わたしと社会』というテーマについてしゃべって行くと言うところで、今回は社会課題とエンターテイメントというところで僕らも活動していますが、その具体例を挙げつつですね、3つのフェーズを皆さんと共有できたらなと思っています。

まず1つ目は社会課題を解決すべき理由というものを皆さんが理解をすると言うことですね。なんで社会課題って解決しないといけないの?とか社会課題って何なんだろう?っていう所からブレイクダウンして行くような形になっています。

そして2つ目が社会からの解決には大衆の参画がねやっぱり必要になってきますので、その中でエンタメの力を使うことでよりそれを大きなムーブメントにできるねと言うところ皆さんと一緒に理解を深めていくと。

そして3つ目が、上の2つは分かったとその中でもじゃあ自分が1つアクションを起こすとしたらどういうことができるのかなというところを具体的なアクションプランまで落とし込んでいくというこの3つをこのセッションの中でお話できればなと思っております。改めてよろしくお願いします!

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『Dialogue.1「わたしと社会」〜なんで社会を変えようとアクションを起こすのか〜 書き起こし』へ続く

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webメディア『アヴァンギャルド』をつくりました

普段、エンタメ業界で仕事をする中で、そしてアーティストの方々と話す中で、つくりたいなと思っていたものをつくりました。

それがwebメディア『アヴァンギャルド』です。

今回はどんなメディアなのか?なぜつくったのか?などをお伝えできればなと、この記事を書かせていただきます。

 

と、その前にまずは自己紹介を。

発案者であり、編集長も務める僕、高村治輝は、小さい頃から音楽が大好きで、親に頼んでTSUTAYAに行ってはアルバムを10何枚借りては何度も聴きまくるという生活をしていました。そんな僕が大学に入ったときに音楽を始めたいと思いつきでDJをはじめたら、いろんなイベントに関わるようになり、ついには自分たち主催で音楽フェスも企画することができました。それからも音楽フェスを作り続けて今年で9年目になります。

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そして、その一方で他の音楽フェスや展示会、番組のロケなど様々な現場を仕事として任せてもらってエンタメの世界にどんどんのめり込んでいった僕は、エンタメの素晴らしい部分や逆に変わらないといけないなって部分をたくさん体験してきました。

エンタメはたくさんの人に笑顔と感動を与えて、生きる活力を生み出せるし、人が人らしくいれる場所。つまりは心豊かに生きるために必要なものだと思っています。今日、明日エンタメがなければ死ぬということはないでしょう。だけど、エンタメがあるからこそ生きる目的や目標が生まれ、人と人とが心を通わせられるんだと僕は思っています。

 

そんなエンタメの世界にも変わらないといけないことがたくさんあります。
大量のエネルギーを使うこと、大量のゴミを出すこと、過酷な労働環境や、作り手のモラルの欠如、誹謗中傷、、、などなどあげていけば大量に出てきます。
時代の変化とともにエンタメも環境に合わせてアップデートし、よりよいコンテンツを届けていかないと未来がない。そう僕は思っていました。

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そんな中で、今年になってエンタメ業界はコロナウイルスによって大きな大きな被害に遭いました。"リアル"を届けるのがエンタメの最大の武器なのに、その武器を取り上げられて裸一貫にさせられた感覚で、多くの事業者さんたちが今まさに苦しんでいます。

そんな時だからこそエンタメをアップデートできるんじゃないかなと思って、僕は『社会課題×エンターテインメント』をテーマに、新しいエンタメの価値提供のカタチを探ってきました。そのひとつが #政を祭に 変える『#vote_forプロジェクト』です。

そして今回、このwebメディア『アヴァンギャルド』も立ち上げました。

 

アヴァンギャルド(avant-garde)とは、

仏語で「前衛」。元々は「前衛部隊」を指す軍事用語であるが、先鋭的ないし実験的な表現、既存の価値基準を覆すような作品を名指すために19世紀頃から頻繁に用いられるようになった。「前衛(的)」という問題を主題化した美術史上の論考としては、C・グリーンバーグの「アヴァンギャルドキッチュ」(1939)が有名。その際グリーンバーグが「アヴァンギャルド」と呼んだのは、卓越した歴史意識をもって既存のブルジョワ文化を批判し、芸術的な作品/行為を通じて文化の推進と絶対的なものの探求を試みる作家たちのことであった。その成立時期が示唆するように、アヴァンギャルドというカテゴリーは近代芸術の展開(モダニズム)と不可分のものであり、無数の主義(ism)や様式(style)が現われては交替していく近代芸術の歴史は、前衛芸術の歴史そのものであると言うこともできよう。とはいえ20世紀も後半になると、「アヴァンギャルド」というカテゴリーそのものが歴史化され、「反アヴァンギャルド」的な作品・言説もまた誕生することになる。加えて、「アヴァンギャルド(前衛)」という言葉の内実が使用者によって異なることもしばしばであり、今日用いられている「アヴァンギャルド」という言葉を理解するにあたっては、その政治的、様式的、歴史的な含意にたえず注意を払う必要があるだろう。
DNP大日本印刷 - artscapeより抜粋

つまり『アヴァンギャルド』とは、既成の観念や形式をアップデートする先端的な取り組みであり、アヴァンギャルドという概念自体と闘い、塗り替えていくことが極めてアートだなと思っています。

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そんなwebメディア『アヴァンギャルド』にてカタチにしていきたいことはこのようなことです。

■アーティストの社会的アクションとそこに込めた想いを届ける

たくさんのアーティストと出会う中で、いろんなアーティストが歌を届ける以外にもプライベートで社会的なアクションを行なっていることを知りました。

とあるアーティストはアフリカの貧困国に学校を建て、たくさんのこどもたちの学びたい気持ちを後押ししています。また、とあるアーティストは街をクリエイティブな方法で綺麗にしている。

そんな中で彼ら彼女たちは広め方に難しさを感じていて、それはアーティスト故に、舞台では歌を歌うことにしかスポットライトが当たらないということ

もちろん彼らもアーティストなので歌詞やリズム、身振りやMCにも思いを込めて表現をする。けど、ステージを降りれば一人の人になるし、歌手であるからこそ音楽以外の情報は邪険にされ、ステージ外の活動にはスポットライトが当たらない。

そんな光景を見ていたからこそ、僕はそれを届けたいなと思いました。

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その中で大切にしたいのは、慈善活動としてではなく、表現の一環だというメッセージ。あくまでも"その取り組み"は表現こそが目的であって、社会的なアクションをすることがすべてだとは思っていないし、読者にも思って欲しくもないと考えています。

アーティストのすごいところはこの時代に生きる中で多くの人が感じてるけど、世の中の不条理・不満・不安や、希望・理想などを音と文字で表現することができる特別なスキルを持った人たちということです。

そんな彼らの感じていることを深ぼることで、いまの時代の働き方や生き方に大きなヒントを与えてくれるんじゃないかなと思っています。

 

■エンタメの魅力を突き詰めたい

エンターテインメントの素敵な部分にもっともっと出会いたいし、そしてそれをインパクトのある形で社会に発信していきたい。

と、思ったのも昨年開催したイベント『マツリゴト OSAKA 2020 The Forum』にて「過去のロックの学びとして、歌を歌っていても結局、社会は変わらなかった」という話が出てきました。

これはまぎれもない事実である一方で、僕はすごく悔しい気持ちになりました。

エンターテインメントはお遊びか?エンターテインメントは革命だ!という言葉をこのイベントの主題としていたのもきっとこの過去を自分も見てきたからでそれを改めて話をするとグッとくるものがありました。

でも、いまいろんな(歌手含む広義の)アーティストたちが社会的なアクションを起こしています。それはある種のトレンドであり、自然的な流れなんだと感じていますが、その流れにスポットライトを当てて多くの人に伝えたい。それがメディアをつくる理由です。

 

まずはこのnoteから。

更新を楽しみにしてくれる人がいれば嬉しいです。

2021年もよろしくお願いします!

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